12月16日(土)は「ファミマガエイジス」!

2011年にスタートしたゲーム雑誌トークライブ「ヒッポンエイジス」。一緒に企画を立ち上げた盟友・成沢大輔の早世によって一旦は終了としていましたが、もう一人“あの頃”のファミコン雑誌で共に仕事した仲間であり、『ファミリーコンピュータmagazine』の二代目編集長・山本直人さんと「ファミマガエイジス」として、いちど限りの復活をさせることにしました。

開催は2017年12月16日(土曜)ということで、もう来週末ですよ。場所はおなじみ阿佐ヶ谷ロフトA、お昼の部(OPEN 12:00 / START 13:00〜)での開催です。

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出演は山本直人とみさわ昭仁の他に、声優の影山貴広さんがMCを担当。スペシャルゲストには『ファミマガ』で金田一技彦として活躍していた三浦昭彦さんと、ディスくんのコミックを描いてくれていた漫画家の嵩瀬ひろしさんもご出演! あの頃の、誌面づくりの裏話を3部構成でたっぷり3時間お話しします。

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当日は、本イベントオリジナルのファミマガフードとして「ディスくんカレー(黄)」と「ブラックカレー(黒)」の他に、ファミマガドリンクの「仙人ソーダ(ノンアル)」と「仙人サワー(焼酎)」の4種類も準備しています。この4種には、嵩瀬さん描き下ろしイラスト(↑)を使用したコースターが付いてきます。また、サイン色紙のプレゼントもありますよ!

そしてもうひとつ。やはり『ファミマガ』に関係のある人物が、シークレットゲストとしてそれとなく桟敷席にいるという噂……。

まだ若干お席に余裕があるようですので、迷ってる方はぜひこの機会にチケットのご予約を!→ 「ファミマガエイジス」 – LOFT PROJECT SCHEDULE

『レコード越しの戦後史』の「成長するもくじ」

現在、水道橋博士メールマガジン『メルマ旬報』でとみさわは『レコード越しの戦後史』という記事を連載しています。これは昭和20年の終戦から天皇崩御によって昭和が終わったあの日までを、流行歌と共に振り返るというものです。

月1回の更新(とみさわの記事が掲載されているのは毎月20日に配信される“る組”)で、いちどに2本の記事を掲載しています(今後、増減する可能性あり)。

この連載のことをひとりでも多くの方に知っていただくために、ここに目次を掲載しておきます。といっても、最初からすべての項目をここで公開するわけではありません。メルマ旬報に掲載されるたびに、そのタイトルを追記していきます。つまり、毎月少しづつもくじが成長していくのです。

記載されているタイトルに興味を抱き、読んでみたいと思ったなら、ぜひとも『メルマ旬報』の購読をお願いします。月3回(毎月10日/20日/30日)発行、月額500円(税込)です。

 

『レコード越しの戦後史』もくじ 

第1章「終戦からの復興」編

  1. 復興の唄は戦前から書かれていた(リンゴの唄/並木路子
  2. 故国からの旅立ちと帰還の唄(かえり船/田端義男)
  3. 還らぬ息子を想う母の歌(岸壁の母/菊池章子、他)
  4. 焼け跡に咲く悲しみの花(星の流れに/菊池章子
  5. 焦土に咲いた夢のひとひら(宝くじ音頭/島倉千代子
  6. そびえ立つ復興のシンボル(東京333米/ミラクル・ヴォイス)

第2章「国民のヒーロー」編

  1. 街頭に炸裂する空手チョップ(嗚呼 力道山/小泉まさみ、他)
  2. オリンピックの顔と顔(東京五輪音頭/三橋美智、也)
  3. 馬場と猪木、BI砲の時代(満州里小唄/ジャイアント馬場、他)
  4. 歌う女子プロレス(必殺勉強野郎/マッハ文朱、他)
  5. 王と長嶋、ON砲の時代(巨人軍の歌/若山彰、他)
  6. 土俵から出たミリオンヒット(そんな夕子にほれました/増位山、他)

第3章「戦争の忘れ形見」編

  1. 安保、平和を願う魂の叫び(戦争を知らない子供たち、他)
  2. 還ってきた日本兵(お帰りなさい横井さん/林伊佐緒、他)
  3. 日本と中国の友好の使者(パンパカパンダ/小松方正、他)
  4. とり残された孤児の歌(遥か日本よ、故郷よ/川奈稔、他)
  5. 沖縄の忘れられた約束(沖縄ベイ・ブルース/DTBWB、他)
  6. さい果てに未練を残す北方の島(さい果て島未練/細川たかし、他)

第4章「高度経済成長の時代」編

  1. 高度成長を支えた出稼ぎの唄(常磐炭坑節/赤坂小梅、他)
  2. 電力不足解消のための一大事業(あゝダムの町/三浦洸一
  3. モーレツ社員へのカウンター(無責任一代男/植木等
  4. 交通網の発達(東海節/小林旭、他)
  5. 社会発展による弊害(帰ってきたヨッパライ/ソルティ・シュガー、他)
  6. 高度成長期の終焉とバブル経済(領収書/パワーズ、他)

第5章「戦後事件史」編

  1. 吉展ちゃん誘拐事件(かえしておくれ 今すぐに/ザ・ピーナッツ、他)
  2. 三億円強奪事件(府中捕物控/アルフィー、他)
  3. 連続射殺魔事件(愛して欲しい/連続射殺魔)
  4. 三島由紀夫割腹自決(起て!紅の若き獅子/三島由紀夫と楯の會、他)
  5. 連合赤軍あさま山荘事件(お湯をかけたら/藤本房子
  6. コインロッカーベイビー(ダスターシュート・ベイビー/畑中葉子
  7. ロッキード疑獄事件(ブラック ピーナッツ/細野晴臣
  8. 横浜米軍機墜落事件(いとしいあした/雪村いづみ、他)
  9. 金属バット殺人事件(金属バット/STIGMA)
  10. 疑惑の銃弾事件(恋のぼんちシート/ザ・ぼんち
  11. 羽田沖日航機逆噴射事件(逆噴射・家族借景/ひとし&カツヤ)
  12. グリコ・森永事件(かい人21面相のテーマ/ミハエル・ロマーノフ)

第6章「流行あれこれ」編

  1. 人々を夢中にさせたマスコット(だっこちゃん音頭/ペコちゃん、他)
  2. 歩行者天国は青空のステージ(歩行者天国の歌/トワ・エ・モア、他)
  3. レジャーとスポーツ(美しきチャレンジャー/富田智子、他)
  4. 幸福行きの切符(愛の国から幸福へ/芹洋子)
  5. 街角のハプニング(気まぐれストリーキング/ザ・ストリークス、他)
  6. 口裂け女が出現!(十番街の口裂け女/サミット・プランテーション、他)
  7. インベーダー襲来(インベーダーWALK/マキ上田、他)
  8. 珍アニマル動物園(TOBIKKILI!カルガモちゃん/島崎俊郎、他)

第7章「国外からのお客様」編

  1. ビートルズがやってきた!(MEET THE TOKYO BEATLES/東京ビートルズ、他)
  2. ツイッギー来日(小枝のような可愛い娘/美樹克彦)
  3. 世界の国からこんにちは(世界の国からこんにちは/三波春夫、他)
  4. モナリザ来日(モナリザの微笑み/ザ・タイガース、他)
  5. 人か猿か? オリバーくん(オリバー君のロックンロール/池田鴻
  6. 遥かアフリカからの訪問者(Be Smiling/山村美智子

2019.1.12 更新

山手線で行ける苗場

かつては隆盛を誇った冬の遊びの王者であるスキー(もしくはスノボ)が、いまや衰退しつつある。

ぼくは毎日通勤で小川町から神保町まで歩くのだが、あのスキー用品屋が集中する一帯を見ていても、まったく盛り上がっていない。そして実際に、数年前からゲレンデもガラガラだという。いまの若者は、スキーなどしなくなっているのだ。

そりゃそうだよな、と思う。なにしろスキーってのは金がかかる遊びだ。まず最初に用具とウェアを揃えなきゃならないし、スキー場まで行くにはクルマが必要だ。

「いや、用具はレンタルできるし、移動は電車でいいじゃん」

そう言われれば確かにその通りなんだが、そうした簡易な手段がありながらも「自分の板」や「自分のウェア」が欲しくなるものだし、カーステでユーミンとか聴きながらみんなでワイワイ行きたくなるのが、スキーというものだ。ゲレンデで滑るだけがスキーじゃない。そこに至る状況をも含めたものが“ウィンタースポーツ”なのだと思う。

スキー人気が絶頂を迎えたのは、おそらくホイチョイ映画の『私をスキーに連れてって』が公開された1987年あたりだろうか。あの頃は、バブル景気がぐんぐん加速していた時期ということもあって、大学生でもみんなクルマを持っていた。でも、いまクルマを乗り回している学生なんてどれくらいいるのだろう。

バブル以降、どんどん景気が冷え込んだ。給料は下がり、終身雇用は幻となった。非正規社員がどんどん増えている。消費税は上がる一方。アルバイトはブラック。これじゃ学生はもちろん、サラリーマンだってクルマを持てるわけがない。スキーなんてやってる場合じゃないよな。

で、疑問に思ったわけだ。あの頃の若者がスキーやスノボに夢中になっていた娯楽への情熱を、いまの若者はどこへ向けてるの? と。

ゲームってことはないだろうし、スマホ? パソコン? それは違う気がするなあ。海外旅行は、LCCの普及で行きやすくなったけど、それもちょっと違う。もっとこうバカっぽい情熱が発散できる場所。野外ロックフェスはかなり近い気がしているが、あれはあくまでも受け身の娯楽。スキーのように自分から突っ込んでいく感じに欠けるのだ。

その明確な答えがなかなか見つからなかったんだけど、先日、友人らと話していて、これだ、というのが見つかった。

路上でのハロウィン騒ぎである。

イケてるみんなとワーッと集まってバカ騒ぎできる場所。でも、スキーのようにお金はかからない。ドンキで買った安物のコスプレ衣装で十分だ。そして(ここが大事なところなんだけど)あわよくばヤレるかもしれないという“性の予感”。これは若者を熱狂させるのに必要なスパイスだ。

このことに気づいてから、ハロウィンの夜の渋谷スクランブル交差点は、ぼくには苗場に見えるようになった。円山町にプリンスホテルができるのも時間の問題だ。

レコード越しの戦後史、難関だった最後の1枚を入手

 水道橋博士が編集長を務めるメールマガジンメルマ旬報』(月3回発行、月額500円)で、8月から「レコード越しの戦後史」という連載を始めた。これは昭和20年の終戦から、天皇崩御する昭和64年までを追いかけたものだが、もちろんぼくが書くのだから当たり前の戦後史になるわけがない。タイトルに「レコード越しの」とあるように、戦後の日本を彩った様々なトピック(出来事や事件)を、それにまつわるレコードと共に読み解いていくという試みである。

 全体の構成はすでに出来ていて、取り上げるトピックはおよそ100項目ほどある。連載では、すでに終戦=『リンゴの唄』、復員=『かえり船』、還らぬ息子=『岸壁の母』、街娼=『星の流れに』が掲載されている。あとはひたすら書き進めていくだけなのだが、なにしろ戦後史なんて書くのは初めてのことで、とにかくたくさんの資料を読み込む必要があった。準備を始めたのは去年の夏からで、約1年のあいだ昭和史関連の本を40〜50冊ほど読んだだろうか。

 そうして、取り上げるべきトピックを決めたら、それに関連するレコードを探していく。「出稼ぎ労働者といえば……『ヨイトマケの唄』だ!」というように、すぐにレコードが連想できるものはいいが、そうでないものの方が大半で、これは大変な作業である。該当するレコードがない場合は、そのトピックを候補から外さなければならない。歴史を侮辱しているような気もするが、ぼくにとってこの企画はレコードありきなので、こればかりは仕方ない。

 三浦和義ロス疑惑事件は、戦後事件史の中でもかなり有名な出来事だったので、最初から候補に入れていたのだが、いくら探してもそれに関連するレコードがないため、泣く泣く候補から外すことにした。ところが、何かの本を読んでいたら、漫才コンビのザ・ぼんちが歌った『恋のぼんちシート』が、アフタヌーンショーでの川崎敬三と山本耕一のやりとり(それはおもに三浦和義事件のレポートでのこと)を歌詞に盛り込んだものであることを知り、一気に問題が解決した。

 ザ・ぼんちのレコードは80万枚も売れたので、入手はたやすい。中古レコード店の100円均一ボックスをのぞけば、かなりの確率で入っている。しかし、そういうものばかりではない。ある出来事に対して、それに該当するレコードの存在が確認できても、自分の手に入らなければ取り上げるわけにはいかないからだ。そこは、物書きというより、ぼくのコレクターとしての矜持である。この1年間は、資料の読み込みも大変だったが、掲載予定のレコードをかき集める作業にも、ずいぶん時間(とお金)を費やした。

 さて、ここからが本題である。

「レコード越しの戦後史」の最終章で取り上げるトピックで、どうしても入手できない曲が1枚だけあった。最終章ということは、昭和も終わり間際のことだから、世間はもうアナログからCD時代に変わりつつある時期だ。そのため、ぼくが探しているその曲も、8センチの短冊CDで発売されていた。しかし、例によってぼくのやることには「アナログ7インチ(シングル盤)に限る」という謎の縛りがある。だから、「レコード越しの戦後史」に掲載するジャケット画像は、すべてアナログ7インチで統一したい。いくらその曲が重要なものであっても、8センチの短冊ジャケットだったら載せたくない。我ながらめんどくさい性格である。

 そして、ここがコレクターの恐ろしいところなのだが、必死に調べたところ、探しているその曲にはアナログ盤もわずかながら存在することがわかった。昭和の末期あたりは、まだラジオ局などはアナログのターンテーブルが現役で使われており、レコードを作る側は、放送でオンエアさせてもらいやすくするために、プロモ用にはCDではなく、わざわざアナログ盤をプレスして配るという習慣があったのだ。だから、なんとしてでもそれを入手したかった。だけど、どマイナー盤のプロモ用7インチなんて、探したからってすぐに出会えるものではない。

 ならば、せめて短冊CDだけでも入手しておこうか。「全部アナログ7インチで統一」の野望は成就できないが、その曲は最終章を構成する要素のひとつとして、どうしても欠かせない。だから、アナログ盤と並行して短冊CDも探していたのだけど、やっぱり出てこない。プロモ用7インチ、短冊CD、いずれにしろマイナーな曲は絶対数が少ないので、出会いはスローモーションなのである。

 いちおう、その音源自体は正式なルートでダウンロード販売されているので、押さえとして買っておいた。これによって、盤の現物は持っていないけれど、著作者にお金は支払ったので、ネット上にあるジャケット画像を連載のために使用することは、道義的にも許されるだろう。7インチのジャケットじゃないのが癪ではあるけれど。

 さて、なぜこんなことをグダグダと書いてきたかというと、実は今日、やっとその現物を手に入れたからだ。短冊CDを? いやいや、プロモ用のアナログ7インチを! シングルレコードを! 穴のあいたドーナツ盤を!

 謎の達成感で、なんだかもう最終章まで書き終えたような気分ですね。

 この曲が、どういう文脈で登場するのかは、いずれ書かれるであろう最終章を読んでのお楽しみ。

池袋の定食屋で居酒をたのしむ

 昨日は、安田理央さんの「これから飲める人」って呼びかけに反応して、急遽、池袋で飲むことになった。他に友だち二人も合流して4人で飲むことになったんだけど、最初は安田さんと二人で店を探して歩いた。

 池袋といったら西口の「大都会」か「ふくろ」を真っ先に思い浮かべるが、あれらは昼から軽く飲むのに適している店であって、一日の仕事を終えた夜にわざわざ訪ねる感じの店でもない。安いのは嬉しいことだけど、ちょっとせわしないんだな。

 それで、とりあえず東口の美久仁小路なら間違いなかろうと、二人して向かってみた。実際、ここにはいい店が揃っている。しかし、ぶらぶら歩きながら各店を覗くも、どうも決め手に欠ける。なんというかね、店としてちゃんとしすぎているのだ。

 ちゃんとしてることの何が悪いのか! と、世間の皆さんはおっしゃるでしょうけれども、でも、ぼくたちめんどくさいオヤジだからさ、理想とする酒場にも、常人には理解できないこだわりポイントがいろいろあったりするわけよ。

 そんなときに見つけたのが、美久仁小路を東側へ抜けたところにある「お食事処 さつき」だった。ここは正式な業態としては定食屋ということになるのだろうけど、店頭のお品書きや店の雰囲気から“飲める感”がひしひしと伝わってくる。これが重要。

 定食屋だけれど、メニューにはいかにも酒のつまみが並び、酒の種類も豊富だ。酎ハイを頼んだら、絶妙に焼酎の濃いやつが出てきた。酎ハイというのは中の焼酎が濃ければいいってもんではないが、薄いよりは百倍いい。

 つまみは鳥の唐揚げ、刺身の盛り合わせ、塩昆布キャベツ、山芋の千切り、ザーサイなどを注文。男4人の酒宴にしては少なめだったのが申しわけないところだが、店の人はそれを非難するどころか、むしろ頼んでもいないサラダや小鉢をどんどん持ってきてくれて、しまいには味噌汁まで出してくれた。この故郷の母ちゃん的サービス攻撃は都会に疲れたおっさんたちの涙腺を刺激する。

 いい酒場を求めるのは簡単だ。それらしい店名で、それらしい暖簾で、それらしい外観で、それらしい内装の店を選べばいい。そんな店は盛り場に行けばいくらでもある。でも、ぼくらが求めているのはそういうことじゃない。ぼくらは「居酒屋」を探してるのではなくて、日常の中に潜む「居酒」を探しているのだ*1

 この居酒(いざけ)という言葉、今後ぼくにとっての重要なキーワードとなる気がしている。

*1:行きがかり上「ぼくら」と書いてしまったが、安田さんをはじめ同行した友人たちが同じことを考えているかどうかはわからない。

オールタイム・ベスト10

 もっとマメにブログを更新しなければと思いつつ、日々の仕事や飲酒に追われて、ついついサボっておりました。なにしろフリーライター業の他に古本屋もやっているし、天気がよければ昼飲みにも出かけなきゃいけないから、忙しくてしゃあない。どうしたって、ブログの更新は後回しになってしまいますわな。

 先日、洋泉社から映画秘宝exとして『オールタイム・ベスト10 究極決定版』というMOOKが発売されました。表紙には「超豪華150名の映画狂が爆選!」とある。そんな彼ら、彼女らが選んだ生涯ベスト10の映画を集計して、1位から30位までを巻頭に掲載してあるのだが、これが如実に「映画秘宝」のテイストをあらわしていておもしろい。

 このMOOKでは、ぼくも「人喰い映画傑作選」という原稿を書いているので、ぜひ読んでほしいのだけど、そのコラムはあくまでも「人喰い映画」というジャンル限定で10作を選んだものであって、ぼくのオールタイム・ベスト10とはなっていない。それで、ぼくの個人的なオールタイム・ベスト10はこのブログで発表しておこうと思った次第。

 というわけで、遅ればせながら以下に並べておきます。ぼくがコトあるごとに見返す、生涯この10本。

■1位『ツイスター』(1996)

ツイスター [Blu-ray]

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 最初は、CGで描かれた竜巻の迫力に圧倒されただけで、そのうち(CG慣れしてきたら)飽きるかもしれないなー、と思っていたけど全然飽きない。20年経ってもウシが飛ぶところとか最高。ぼくが映画に求める快楽が全部ある。人からどんだけ笑われても、この映画を愛す。

■2位『ガキ帝国』(1981)

 監督に対しては色々思うところもあるが、この映画のガキどもの輝きはいまも変わらない。ラスト、昔の喧嘩友達だったポパイが機動隊員になっているのを見かけたリュウ趙方豪)が、つい懐かしくて声をかけたところ、ポパイは「逮捕したろか?」と冗談交じりに権力を振りかざす。カッとなったリュウは思わずポパイをぶん殴ってしまい、おかげで機動隊員たちに追いかけ回される羽目に。ぼくはこの場面を見返すたびに、自分はいまどっちにいるか、を確認するのだ。

■3位『宇宙戦争』(2005)

宇宙戦争 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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 長いあいだ怪獣映画の魅力がわからなかったぼくに、その楽しさを教えてくれた作品。

■4位『エイリアン』(1979)

 映画公開前に、待ちきれなくて買ってしまったノベライズ・コミックスを読んで、エイリアンの造形からストーリー展開、そしてラストのオチまで全部知ってしまってもなお、劇場で見た“それ”に震えあがった。シリーズ全部好きだけど、やっぱりこの1作目が最高。

■5位『プレデター』(1987)

 プレデターはサンマとか食べるの上手そうよね。

■6位『座頭市』(1989)

座頭市(デジタルリマスター版) [DVD]

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 勝新本人の監督による座頭市。時代劇というよりウエスタン寄りの演出が気持ちいい。冒頭、牢屋の場面で市が床にこぼした味噌汁をかがんで口つけて吸うところが好き。あとはぶった切った鼻が柱にへばりついてヒヨヒヨ〜と落ちていくところ。勝新監督はディテールの描写が本当にうまい。

■7位『ジョーズ』(1975)

 いまさら言うまでもなくモンスター映画の大傑作。これがなかったら、ぼくは人喰い映画を研究しようなんて思わなかったかもしれない。海上で夜明かしをするとき、主演の3人がサメにやられた傷自慢をするシーンが大好き。

■8位『マイク・ザ・ウィザード』(1989)

 何かを作っていて、自分の才能に自信を失いそうになったとき、いつも見返す映画。ラスト10分、劇中映画として流れるショートフィルム『The Wizard of Speed and Time』は、涙なくしては見られない。ジトロフが仕込んだ秘密のメッセージを見つけるためにコマ送りは必須。

■9位『狂い咲きサンダーロード』(1980)

 暴走族のネーミングが「魔墓狼死」っていう時点で全面降伏。「やってやろうじゃねぇの!」と「でもやるんだよ!」があれば生きていける。

■10位『一杯のかけそば』(1992)

一杯のかけそば [VHS]

一杯のかけそば [VHS]

 ぼくにとって渡瀬恒彦といえば、これ。笑いごとじゃない。本当に素晴らしいんだ。まさかのアニメオープニングからのタラちゃん。タラちゃんからのピン子。過去に人を殺してそうな蕎麦屋の恒彦。革ジャン着てるだけで“ROCK”と呼ばれる青年。この映画がどれだけ最高かは、今後も機会あるたびに語っていきたい。

板橋区・大山、丸鶴の特製タンタン麺

 一般的に担々麺というと、ひき肉とラー油とゴマ。とくにスリゴマたっぷりの四川風ラーメンを連想すると思う。そしてクタッと火の通った青梗菜。あれが一般的な坦々麺のイメージだ。

 しかし、ぼくはあれがそんなに好きではない。いや、基本的に辛いラーメンはどれも好きなので、担々麺も嫌いではないが、スリゴマを溶いたスープにちょっと甘いイメージがあって、積極的に食べようという気になれないのだ。わかりますか、このニュアンス。いざ食べてみれば辛いんだけど、食後の印象としてはどうも口の中に甘さが残るの。

 そんなわけで四川風の担々麺をぼくが食べることはほとんどないのだけど、その一方で、タンタンメン(ここはあえてカナで書く)にはそれ以外のバリエーションが非常に多い。四川風とはガラリと変わって、ゴマを使っていないスタミナ麺のようなもの、玉子とじにしたもの(ニュータンタンメン本舗)など、いろいろある。

 板橋区の大山というところにはまるで縁がないので、そんな店があるのは知らなかったが、ある知人から「丸鶴」という町の中華屋さんを教えてもらった。そこの特製タンタン麺がおいしいというのだ。家からはちょっと距離があるけど、古本の仕入れも兼ねて足を伸ばしてみた。11時の開店とほぼ同時に入店し、迷うことなくそれを注文。

 出てきたのがこれだ。まあ、事前に食べログでドンブリ画像は見ているので、「ああこれね」という感じ。

 おそらく鶏ガラでとったであろうスープに、ラー油。のっている具は豚肉、玉ねぎ、ニラ、ニンジン、キクラゲを炒めたもので、ようするにスタミナ焼きだ。てっぺんには「なると」がひと切れ。麺は手打ちのちぢれ麺。このちぢれ麺というものもぼくの好みとは違うんだが(めんどくさくてスマンね)、ここのは悪くなかった。いやむしろ、野菜の甘みが溶け込んだスープとよく絡んで、ずいぶんうまかった。

 どうにも家から遠いので、なかなか再訪はしづらいけれど、こちらへ来る用事があったらぜひまた食べに来たいし、なんならここへ来ることを前提にブックオフ巡りのツアーを組んでもいい。それぐらい魅力的な味だった。