18 攻略本の巣窟と伊勢うどんと美濃加茂盆踊り

2013年8月マ日

 自分で店を始めてわかったことがひとつある。それは「ドアを開けておくと虫が入ってくる」という事実である。虫といっても、このビルは飲食店が入居しているわけではないのでゴリブリ的なやつは出没しない。せいぜいが蚊とか小さな蛾のようなもので実害はない。それにしても、4階までよく上がってくるな~。

 成澤大輔くんと企画しているトークイベント「攻略本大博覧会」の準備で、関東某所にある松原圭吾くん(おそらく日本一のゲーム関連書籍コレクター)の家を訪問してきた。

 とにかく、家のありとあらゆるところに本棚が設置され、隅から隅までゲーム攻略本とゲーム関連書籍で埋め尽くされている。その物量にはただただ圧倒される。まさに「ここにない本は(この世にも)ないですね~」状態だ。とにかく現物があるということはとても重要で、あれこれ本を見せてもらっているうちに、イベントのいいアイデアがいくつも湧いてきた。

 打ち合わせを終えたあと、成澤くん松原くんと「庄や」で軽く飲んで帰宅。あ、もちろん打ち合わせの前には、周辺のブックオフをチェックすることは欠かしていない。

▲唖然とする成澤大輔。その背後には攻略本山脈が。

2013年8月ニ日

 せっかく古本屋を開業したのに一年と経たずに店を閉めた人のブログが話題になっていて、同業者としては非常に気になるので読んでみた。率直な感想としては「ずいぶん開業資金を投入してるんだなあ」というものだった。

 この日記を読んでいる方ならおわかりのように、マニタ書房は100万円もかけていない。本棚は貰い物だし、その他の什器類もできるだけ中古で間に合わせている。あとは友人たちの優しさに支えられてなんとかやっている。

 とかなんとか言っていたら、神戸の海文堂書店さんが来月末で閉店との知らせが。一昨年に仕事で神戸まで行った際に寄らせてもらったけど、古書と新刊を両方扱っていて、とても雰囲気のいい店だった。出版不況がますます深刻化しているのを実感する。

 

2013年8月タ日

 今日は店を休んで、立川にある未踏のブックオフ2軒を訪問する。まず1軒目「ブックオフSUPER BAZZER 立川駅北口店」にて7冊購入。で、次に向かうべきブックオフへの道すがらにうまそうな煮干しラーメンの店があるので、そこまで歩いて行く。

 食後、駅まで戻ってバスに乗るか迷うが、腹ごなしも兼ねてこのまま歩いて行っちゃえ! と歩き始めたら、思っていた以上に遠い。でもまあ歩くのは好きなので延々と歩いて、「ブックオフ立川栄店」で4冊購入。収穫があってよかった。

 店を出たら真ん前にバス停があったので、そのまま冷房の効いたバスで立川駅まで戻り、そこから神保町へ。買ってきた本を店に置き、事務作業を少し済ませたら四谷三丁目の「スナックアーバン」へ向かう。今夜は石原壮一郎さん主催の「伊勢うどんの会」があるのだ。

 石原さんは『大人養成講座』でデビューしたほぼ同世代のライターだが、故郷の名物である伊勢うどんの普及にも尽力しており、来月には『食べるパワースポット「伊勢うどん」全国制覇への道』(扶桑社)という本も出版される。そうした努力が認められたか、伊勢市麺類飲食業組合と三重県製麺協同組合公認の「伊勢うどん大使」にも就任している。そんな石原さんが伊勢うどんを振る舞ってくれるというわけである。

 アーバンの常連さんの他に、おそらく石原さんの読者であろうお客さんが続々集まってくる。出迎える石原さんは、その都度「今日はよく来てくださいました」と声をかけている。さらに「伊勢うどんも喜んでいますよ」の一言も。これか! これが「大人力」か! と妙なところで感心させられたのだった。

 

2013年8月シ日

 ブックオフ欲が収まらず、この日から三日間かけて愛知、岐阜、長野、八王子のブックオフ巡りをする。お父さんのお出掛けについて行くと美味しいものが食べられるので、娘も同行してくれるという。

 クルマで家を出発し、東名高速で一路西へ。1軒目は愛知県の「ブックオフ豊田柿本店」で11冊購入。2軒目「豊田下林店」で5冊購入。3軒目「豊田朝日店」で1冊購入。4軒目「瀬戸共栄通店」で2冊購入。

 ここから岐阜県に入り5軒目の「多治見大畑店」で1冊購入。6軒目「可児広見店」で3冊購入。7軒目「美濃加茂店」で8冊購入。ここまで来たところでちょうどよく日が暮れてきたので、ホテルにチェックイン。実は、初日の真の目的地はブックオフではなく「美濃加茂おん祭」で、ここの盆踊りでは荻野目洋子の『ダンシングヒーロー』で大量の住人が狂ったように踊る。これをエキサイトレビューでコラムにするために取材しに来たのである。

 現地で録った動画をYouTubeに上げてあるので見てみて。

youtu.be

 

2013年8月ヨ日

 2日目。朝食バイキングもそこそに出発して、8軒目「ブックオフ19号土岐店」で6冊購入。

 ここから長野方面へ向かい、9軒目「飯田かなえ店」で本4冊と、クルマに積んであるCDに聴き飽きたのでツェッペリンのCDを購入。10軒目「座光寺店」で13冊購入。11軒目「伊那店」で8冊購入。12軒目「箕輪松島店」で7冊購入。

 で、中央道を岡谷インターで降りたら、本日の目的のひとつでもある義父の墓参り。いまはもう妻の両親はもちろん、妻本人もいないので岡谷に来る用事はないのだが、近くまで来たらなるべく墓参りだけでもするようにしている。

 その後、再びブックオフへ向かって13軒目「岡谷若宮店」で10冊購入したら、予約してあるホテルにチェックイン。このあと旧友の石埜三千穂くんと夕飯を共にする。

 彼は「ファミコン必勝本」時代のライター仲間で、ゲーム業界から身を引いたあとは故郷の下諏訪へ戻り、諏訪の信仰史や民俗学を研究する「スワニミズム」の事務局長をやっている。かれこれ20年ぶりの再会だ。これもまた、今回の旅の目的のひとつ。

 

2013年8月ボ日

 3日目。今日は中央道を南下しながら未踏のブックオフを巡りつつ家に帰る。14軒目「茅野塚原店」で本を5冊とドライブ用のCDを2枚購入。

 ここで都内に入り、15軒目「八王子大和田店」で11冊購入。16軒目「八王子堀之内店」で5冊購入。17軒目「八王子めじろ台店」で5冊購入。最後は調布の「ロイヤルホスト」で夕食をとって、あとはひたすら千葉県の自宅へ。

 結局、この三日間の旅で17軒のブックオフを回り、古本を101冊、中古CDを3枚買っている。