17 折りたたみ自転車と珍生相談と博士年表

2013年7月マ日

 都内でブックオフ巡りをする際の機動力を上げるために、折りたたみ自転車を買った。なるべくコンパクトに折りたためるやつがいいなと思って、選んだのはSNSで教えてもらった「CARRY ME」。

 ネットで写真を見て、これはぼくが求めていたちょうどいい感じ! と直感した。出先で原稿を書くのにちょうどいいテキスト入力装置を探していて、MacBook Proじゃデカいし、ポメラじゃ小さすぎるし、なんかいいのないかなー、と思っていた矢先にMAcBook Airを見たときの“ちょうどいい感じ”。あれと同じ匂いを感じたのだ。 でまあオンラインで買うこともできるけれど、できれば試乗もしたいしということで、出勤前に町屋にあるサイクルショップ「アライ」で、店頭在庫にあったグリーンの車輛と純正カバーを購入した(ぼくはこういう決断は早い)。そのまま慣らし運転というか、自分自身がこの自転車に慣れるために、町屋から神保町まで走ってきた。

ブックオフ千駄木店に寄り道

 町屋から神保町まではだいたい8キロ弱ってところかな。CARRY MEは車輪の径が小さく、チューブの空気量も少ないので、路面のデコボコをかなりダイレクトに拾ってしまう。だから乗り心地は決してよくない。歩道と車道の段差が繰り返し出て来るエリアはかなり走りづらい。それと、やはり車輪の小ささのせいだと思うが、安定性が悪いので片手ハンドルなんかすると瞬時にグラついてかなり危険。でも、これらのことはある程度予想していたので割り切っている。走りの気持ちよさを求める乗り物じゃないからね。いずれ、電車で出掛けたときに、この自転車の真価が発揮されることだろう。

 

2013年7月ニ日

 神保町周辺にまつわる情報サイト『ナビブラ神保町』にて、今日から「とみさわ昭仁の古本珍生相談」という連載がスタートした。雑誌がメインの時代から読者欄は何度かやっているが、こういうページは読者の皆さんからのお便りが命。一通でも多くのお悩み相談をお待ちしています!

 ※連載はすでに終了していますので、お悩み相談は送らないでくださいね。

 

2013年7月タ日

 雑誌「TV Bros.」での「水道橋博士特集」を読む。約4万字から抜粋して1万字に要約された年表が見もの。すっかり老眼になった身には雑誌の活字は小さくて、なかなか読み進めるのがしんどかったが、堪能した。ぼくも自分の人生を年表に記録し続けている「年表者だから、博士の年表趣味にはおおいに共感する。

 文中にある「大人になってもバカをやってない人はバカになる」。これは町山智浩氏の言葉だと思うが、至言である。ぼくは幸運なことに『ボケモン』の開発に携わることになり、その結果、世界中の子供たちを喜ばせることができた。この運命にはとても感謝しているが、いまはその反動なのか「世の中に誇れる仕事はもういいんじゃないか」と感じている。それでゲーム開発の仕事はやめた。「ポケモン」と同等とは言わないが、それなりのギャラで制作の依頼があればやらないこともないけれど、まあ、そんな機会は訪れないだろう。

 で、残りの人生をどうやってすごそうか。マニタ書房は続けられる限りは続けるとして、物書き──クリエーターとして何をするかだよね。個人的には「どうでもいいこと」「クダラナイことだけ」をして生きて行ければいいなあと思う。人が喰われる映画をひたすら見たり、珍本を集めたり、それを人に売ったり、どうでもいことをコラムに書いたり。世の中の役に立たないことだけをして、社会の隅っこで細々と生きていければ幸せだ。

 

2013年7月シ日

 これは自分が古本屋になる前からのことだけど、よそ様の古本屋で気になる本を見かけると、売値を確認する前に、この店でだいたい幾らくらいの値付けをしているかを予想する癖がある。

 先ほど、出勤途中に寄ったある古書店で見かけた本。「これが500円以下なら店の仕入れになるし、800円くらいでも自分で読む用に買うなら有りだな」と思って棚から引き抜いたら、4,000円だった……。

 でも、たしかにそれくらいの価値はある本だから、その店がボッタクッテいるということではないんだよね。買える値段と売りたい値段。あんまり売れなくてもいいから高めにつけて一冊当たりの利益を大きくするのか、安めにして素早く売り上げに計上するのか。古本屋として悩ましいところであります。