18 攻略本の巣窟と伊勢うどんと美濃加茂盆踊り

2013年8月マ日

 自分で店を始めてわかったことがひとつある。それは「ドアを開けておくと虫が入ってくる」という事実である。虫といっても、このビルは飲食店が入居しているわけではないのでゴリブリ的なやつは出没しない。せいぜいが蚊とか小さな蛾のようなもので実害はない。それにしても、4階までよく上がってくるな~。

 成澤大輔くんと企画しているトークイベント「攻略本大博覧会」の準備で、関東某所にある松原圭吾くん(おそらく日本一のゲーム関連書籍コレクター)の家を訪問してきた。

 とにかく、家のありとあらゆるところに本棚が設置され、隅から隅までゲーム攻略本とゲーム関連書籍で埋め尽くされている。その物量にはただただ圧倒される。まさに「ここにない本は(この世にも)ないですね~」状態だ。とにかく現物があるということはとても重要で、あれこれ本を見せてもらっているうちに、イベントのいいアイデアがいくつも湧いてきた。

 打ち合わせを終えたあと、成澤くん松原くんと「庄や」で軽く飲んで帰宅。あ、もちろん打ち合わせの前には、周辺のブックオフをチェックすることは欠かしていない。

▲唖然とする成澤大輔。その背後には攻略本山脈が。

2013年8月ニ日

 せっかく古本屋を開業したのに一年と経たずに店を閉めた人のブログが話題になっていて、同業者としては非常に気になるので読んでみた。率直な感想としては「ずいぶん開業資金を投入してるんだなあ」というものだった。

 この日記を読んでいる方ならおわかりのように、マニタ書房は100万円もかけていない。本棚は貰い物だし、その他の什器類もできるだけ中古で間に合わせている。あとは友人たちの優しさに支えられてなんとかやっている。

 とかなんとか言っていたら、神戸の海文堂書店さんが来月末で閉店との知らせが。一昨年に仕事で神戸まで行った際に寄らせてもらったけど、古書と新刊を両方扱っていて、とても雰囲気のいい店だった。出版不況がますます深刻化しているのを実感する。

 

2013年8月タ日

 今日は店を休んで、立川にある未踏のブックオフ2軒を訪問する。まず1軒目「ブックオフSUPER BAZZER 立川駅北口店」にて7冊購入。で、次に向かうべきブックオフへの道すがらにうまそうな煮干しラーメンの店があるので、そこまで歩いて行く。

 食後、駅まで戻ってバスに乗るか迷うが、腹ごなしも兼ねてこのまま歩いて行っちゃえ! と歩き始めたら、思っていた以上に遠い。でもまあ歩くのは好きなので延々と歩いて、「ブックオフ立川栄店」で4冊購入。収穫があってよかった。

 店を出たら真ん前にバス停があったので、そのまま冷房の効いたバスで立川駅まで戻り、そこから神保町へ。買ってきた本を店に置き、事務作業を少し済ませたら四谷三丁目の「スナックアーバン」へ向かう。今夜は石原壮一郎さん主催の「伊勢うどんの会」があるのだ。

 石原さんは『大人養成講座』でデビューしたほぼ同世代のライターだが、故郷の名物である伊勢うどんの普及にも尽力しており、来月には『食べるパワースポット「伊勢うどん」全国制覇への道』(扶桑社)という本も出版される。そうした努力が認められたか、伊勢市麺類飲食業組合と三重県製麺協同組合公認の「伊勢うどん大使」にも就任している。そんな石原さんが伊勢うどんを振る舞ってくれるというわけである。

 アーバンの常連さんの他に、おそらく石原さんの読者であろうお客さんが続々集まってくる。出迎える石原さんは、その都度「今日はよく来てくださいました」と声をかけている。さらに「伊勢うどんも喜んでいますよ」の一言も。これか! これが「大人力」か! と妙なところで感心させられたのだった。

 

2013年8月シ日

 ブックオフ欲が収まらず、この日から三日間かけて愛知、岐阜、長野、八王子のブックオフ巡りをする。お父さんのお出掛けについて行くと美味しいものが食べられるので、娘も同行してくれるという。

 クルマで家を出発し、東名高速で一路西へ。1軒目は愛知県の「ブックオフ豊田柿本店」で11冊購入。2軒目「豊田下林店」で5冊購入。3軒目「豊田朝日店」で1冊購入。4軒目「瀬戸共栄通店」で2冊購入。

 ここから岐阜県に入り5軒目の「多治見大畑店」で1冊購入。6軒目「可児広見店」で3冊購入。7軒目「美濃加茂店」で8冊購入。ここまで来たところでちょうどよく日が暮れてきたので、ホテルにチェックイン。実は、初日の真の目的地はブックオフではなく「美濃加茂おん祭」で、ここの盆踊りでは荻野目洋子の『ダンシングヒーロー』で大量の住人が狂ったように踊る。これをエキサイトレビューでコラムにするために取材しに来たのである。

 現地で録った動画をYouTubeに上げてあるので見てみて。

youtu.be

 

2013年8月ヨ日

 2日目。朝食バイキングもそこそに出発して、8軒目「ブックオフ19号土岐店」で6冊購入。

 ここから長野方面へ向かい、9軒目「飯田かなえ店」で本4冊と、クルマに積んであるCDに聴き飽きたのでツェッペリンのCDを購入。10軒目「座光寺店」で13冊購入。11軒目「伊那店」で8冊購入。12軒目「箕輪松島店」で7冊購入。

 で、中央道を岡谷インターで降りたら、本日の目的のひとつでもある義父の墓参り。いまはもう妻の両親はもちろん、妻本人もいないので岡谷に来る用事はないのだが、近くまで来たらなるべく墓参りだけでもするようにしている。

 その後、再びブックオフへ向かって13軒目「岡谷若宮店」で10冊購入したら、予約してあるホテルにチェックイン。このあと旧友の石埜三千穂くんと夕飯を共にする。

 彼は「ファミコン必勝本」時代のライター仲間で、ゲーム業界から身を引いたあとは故郷の下諏訪へ戻り、諏訪の信仰史や民俗学を研究する「スワニミズム」の事務局長をやっている。かれこれ20年ぶりの再会だ。これもまた、今回の旅の目的のひとつ。

 

2013年8月ボ日

 3日目。今日は中央道を南下しながら未踏のブックオフを巡りつつ家に帰る。14軒目「茅野塚原店」で本を5冊とドライブ用のCDを2枚購入。

 ここで都内に入り、15軒目「八王子大和田店」で11冊購入。16軒目「八王子堀之内店」で5冊購入。17軒目「八王子めじろ台店」で5冊購入。最後は調布の「ロイヤルホスト」で夕食をとって、あとはひたすら千葉県の自宅へ。

 結局、この三日間の旅で17軒のブックオフを回り、古本を101冊、中古CDを3枚買っている。

17 折りたたみ自転車と珍生相談と博士年表

2013年7月マ日

 都内でブックオフ巡りをする際の機動力を上げるために、折りたたみ自転車を買った。なるべくコンパクトに折りたためるやつがいいなと思って、選んだのはSNSで教えてもらった「CARRY ME」。

 ネットで写真を見て、これはぼくが求めていたちょうどいい感じ! と直感した。出先で原稿を書くのにちょうどいいテキスト入力装置を探していて、MacBook Proじゃデカいし、ポメラじゃ小さすぎるし、なんかいいのないかなー、と思っていた矢先にMAcBook Airを見たときの“ちょうどいい感じ”。あれと同じ匂いを感じたのだ。 でまあオンラインで買うこともできるけれど、できれば試乗もしたいしということで、出勤前に町屋にあるサイクルショップ「アライ」で、店頭在庫にあったグリーンの車輛と純正カバーを購入した(ぼくはこういう決断は早い)。そのまま慣らし運転というか、自分自身がこの自転車に慣れるために、町屋から神保町まで走ってきた。

ブックオフ千駄木店に寄り道

 町屋から神保町まではだいたい8キロ弱ってところかな。CARRY MEは車輪の径が小さく、チューブの空気量も少ないので、路面のデコボコをかなりダイレクトに拾ってしまう。だから乗り心地は決してよくない。歩道と車道の段差が繰り返し出て来るエリアはかなり走りづらい。それと、やはり車輪の小ささのせいだと思うが、安定性が悪いので片手ハンドルなんかすると瞬時にグラついてかなり危険。でも、これらのことはある程度予想していたので割り切っている。走りの気持ちよさを求める乗り物じゃないからね。いずれ、電車で出掛けたときに、この自転車の真価が発揮されることだろう。

 

2013年7月ニ日

 神保町周辺にまつわる情報サイト『ナビブラ神保町』にて、今日から「とみさわ昭仁の古本珍生相談」という連載がスタートした。雑誌がメインの時代から読者欄は何度かやっているが、こういうページは読者の皆さんからのお便りが命。一通でも多くのお悩み相談をお待ちしています!

 ※連載はすでに終了していますので、お悩み相談は送らないでくださいね。

 

2013年7月タ日

 雑誌「TV Bros.」での「水道橋博士特集」を読む。約4万字から抜粋して1万字に要約された年表が見もの。すっかり老眼になった身には雑誌の活字は小さくて、なかなか読み進めるのがしんどかったが、堪能した。ぼくも自分の人生を年表に記録し続けている「年表者だから、博士の年表趣味にはおおいに共感する。

 文中にある「大人になってもバカをやってない人はバカになる」。これは町山智浩氏の言葉だと思うが、至言である。ぼくは幸運なことに『ボケモン』の開発に携わることになり、その結果、世界中の子供たちを喜ばせることができた。この運命にはとても感謝しているが、いまはその反動なのか「世の中に誇れる仕事はもういいんじゃないか」と感じている。それでゲーム開発の仕事はやめた。「ポケモン」と同等とは言わないが、それなりのギャラで制作の依頼があればやらないこともないけれど、まあ、そんな機会は訪れないだろう。

 で、残りの人生をどうやってすごそうか。マニタ書房は続けられる限りは続けるとして、物書き──クリエーターとして何をするかだよね。個人的には「どうでもいいこと」「クダラナイことだけ」をして生きて行ければいいなあと思う。人が喰われる映画をひたすら見たり、珍本を集めたり、それを人に売ったり、どうでもいことをコラムに書いたり。世の中の役に立たないことだけをして、社会の隅っこで細々と生きていければ幸せだ。

 

2013年7月シ日

 これは自分が古本屋になる前からのことだけど、よそ様の古本屋で気になる本を見かけると、売値を確認する前に、この店でだいたい幾らくらいの値付けをしているかを予想する癖がある。

 先ほど、出勤途中に寄ったある古書店で見かけた本。「これが500円以下なら店の仕入れになるし、800円くらいでも自分で読む用に買うなら有りだな」と思って棚から引き抜いたら、4,000円だった……。

 でも、たしかにそれくらいの価値はある本だから、その店がボッタクッテいるということではないんだよね。買える値段と売りたい値段。あんまり売れなくてもいいから高めにつけて一冊当たりの利益を大きくするのか、安めにして素早く売り上げに計上するのか。古本屋として悩ましいところであります。

16 怪しい店と古本珍生相談と無看板営業

2013年6月マ日

 ぼくらが子供の頃、町内に一軒くらいは怪しい店があった。見た目はごく普通の古本屋っぽいんだけど、店の一角にちょっと肌色が目立つ雑誌なんかが置いてあって、子供が近寄ろうとすると店のオババに「そこの本は触んな!」とか怒られる。当然、親たちもその店にはそういうものが置いてあるのを知っているので、常日頃から「あのお店には行っちゃダメよ」と言い聞かせている。でも、子供たちの好奇心はそんなことでは抑えることができないわけで、どうやったらあの一角に手を出せるか、知恵を絞って作戦会議などをする。

 まあ、エロに限らず、親が子供に読ませたくない本というのはたくさんある。だってドリフのコントでさえ「教育に悪い!」と言われた時代だからね。いま「8時だョ!全員集合」のコントを見たって、何が教育に悪いのかわからないくらい健全なことをやっている。ただ、基本的に「全員集合」のコントは、加トちゃんら子供たちが、怖い大人の象徴であるいかりやをギャフンと言わせる構造で出来ているので、大人からすれば子供たちがそれに夢中になられるのは都合が悪かったのだろう。

 で、何が言いたかったかというと、マニタ書房はそういう「ぼくが子供の頃に入りたかった怪しい古本屋」を目指している。ということだ。目指せ、子供の教育に悪いオヤジ。

 

2013年6月ニ日

 仕入れた古本の汚れ落とし用に常備してあるマジックリンのボトルを、作業デスクで倒して大惨事。iMacなのでパソコン本体には被害がなくて幸いだったけれど、キーボードを認識してくれなくなった。おそらくキーの隙間に液体が入ってしまって、内部でショートしてるのだろう。ああ、またキーボードの買い替えか。ぼくはApple原理主義なので仕方ないのだが、Apple純正の周辺機器はいちいち値段が高いので困る。ホンのちょっとしたミスで約15,000円くらいのお金が吹っ飛んでしまった。

 

2013年6月タ日

 昨年の12月、ダウンジャケットの胸元にブックオフの値札シールをつけたまま外出していたという話を書いたが、昨日もまた、同じ失敗をやらかした。石原壮一郎さんの事務所へ遊びに行ったら、やはりそこへ来ていた米光一成さんに「とみさわさん、シャツの背中にブックオフの値札シールが付いてるよ」と笑われてしまった。

▲作業デスクがこんな状態では貼り付くのも無理はない。

2013年6月シ日

 神保町の情報サイト「ナビブラ神保町」で「古本珍生相談」という連載を始めることになった。読者から寄せられたお悩み相談に、ぼくが店内にある本から適当な珍書を選び、そこに書かれている言葉を引用して回答するという、なかなか頭脳のアクロバットを要求される連載である。

 で、本日はそのサイトで使用する素材のため、店の外で人物撮影をする。ぼくが古本屋の象徴であるハタキを持って、いろんな関西ポーズで写真を撮られるのだ。

 というわけで撮影の小道具にハタキが必要なんだけど、いまどきそんなもんどこで買えるのやら……と悩んでたら、普通に家にあった。しかも2本も。

 

2013年6月ヨ日

 最近、マニタ書房の看板の仕組みを変えてはどうだろうか、と考えている。看板の仕組みというか、営業中でも看板を出すのをやめてみようかと思っているのだ。

 開業からはや8ヶ月が経過してだいたいわかってきたのだけれど、うちみたいな店は看板を見てやってきた通りすがりのお客さんは、まず何も買わない。いや、べつに買わずに帰っていただいても全然かまわない。それはお客さんの自由。でも、買う買わない以前に、うちの店の主旨がわからなくて首をひねっているお客さんが案外と多いのだ。

 ご存知のように、マニタ書房はライターとみさわ昭仁の仕事場も兼ねているから、そんな通りすがりのお客さんを誘い込んでまで営業しなくてもいいのではないか? というのが正直な気持ちでもある。そこで、看板を出さずに営業してはどうか、と考えたわけだ。

 看板を出していなければ、まずはマニタ書房を知らない通りすがりの人物の来店は排除できる。では、マニタ書房を知っていて、来店したいお客さんはどうすればいいのか? 看板がないと、いま営業中かどうかは階段で上がっていかないとわからない? それはめんどくさい!

 いや大丈夫。営業中のときは、1階の郵便ポストの上の表札のところに「営業中」のサインを出しておくのだ。そういうシステムに変えたことを、店のアカウントをフォローしてくれている人にだけ教えておけばいいわけだ。

 つまり、ある種の会員制古書店ということになるわけだけど、だからといって一見さんを拒否したいわけじゃない。雑誌やネットの記事なんかでマニタ書房のことを知って、興味を持ってくれた人ならいつでもウェルカムなのだ。

 マニタ書房も、開店当初は神保町の街角で道ゆく人にチラシを配ろうか、などと考えたこともある。さすがにそれはしなかったけれど、ロフトグループにチラシを置かせてもらったり、「TRASH-UP」に広告を出したりもした。

 こうした宣伝活動と、店の看板を出さないことは矛盾しているようだけど、それは“わかっている人達”にだけ認知してもらうためなので、自分の中では矛盾していない。客商売としてはとても傲慢な考え方だとは思うけど、はっきり言って趣味の延長ではじめた店だから、まあ、好きなようにやらせてくださいな。

 ※結局このシステムは採用しませんでした。

 

2013年6月ボ日

 お客様からメールにて「一度、訪問したいのですが平日は18:00頃で終了ですか?」との問い合わせあり。

 これに対して店主は、

「ありがとうございます。だいたいそれぐらいで飲みに行っちゃうんですが、とくに予定が入ってない限り、なるべくご希望の時間まで店を開けておくようにしますよ!」

 と返信。「土日祝日は営業していますか?」との問いにも、

「土曜はなるべく店を開けるようにしています。日曜祝日は娘と遊ぶようにしてるので基本はお休みですが、気まぐれで開けることもあります。いずれにしろ、早めに「○○日の△△時頃に来店希望」と言っていただければ、可能な限り合わせるようにしますよ」と返信。

 営業日、営業時間がいい加減ということは、逆に言えばどうとでも対応できるということだ。もちろん、すでに予定(取材・出張・打合せ・行楽・飲酒など)が入っているときは無理だけど、それ以外ならお客様の希望に柔軟に合わせられるのがマニタ書房のいいところなのだ。

15 裸で覚える竹熊さんとビッグダディ

2013年5月マ日

 朝から雨降り。こんな日にわざわざ古本屋巡りをする人も少ないだろうから、店は開けずに家でおとなしく原稿でも書いていればいい。だが、池袋の西口公園では今日から古本まつりが始まっている。うちの店にも客は来ないけど、古本まつりの客足も少ないだろう。ということは、売る側ではなくて、買う側の立場になってみると、それはつまり「ライバルが少ない」ということだ。

 現場に着いてみると、古本を満載したワゴンはすべて大型テントとビニールのカーテンで覆われており、商品の本が濡れるようなことはない。でも、やっぱり雨せいで客足が少なく、古本まつりとしての盛り上がりには欠ける。

 このテンションの上がらなさが、背表紙をチェックするぼくのセドリビーム(ハンター視線)に悪影響を与えているのか、どのワゴンを覗いても、いまいち「欲しい!」と思える本が見つからない。せっかく来たんだから何か買って帰らなきゃ、なんて考えが頭の隅をよぎったりもするが、そうやって無理して本を買ってもロクなことにならないのは経験上わかってる。

 いっそ、スッパリ諦めて何も買わずに引き揚げるのもプロの古本屋としては懸命な判断かもしれない。そう考え始めたそのとき。一冊の本のタイトルが目に飛び込んできた。

▲『裸で覚えるゴルフ入門』(1973/土屋書店/弘文エディター編)

 かつて大槻ケンヂが紹介したこともある、ヘンなもの好き界隈では有名な本で、ぼくは初めて現物に遭遇した。

 タイトルからわかるようにゴルフの教則本で、中身も普通にゴルフの入門解説で構成されている。第1章「知識編」から第2章「基本編」、第3章「実技編」、第4章「応用編」と続いていく。それぞれの見出しも、「自分にあうグリップはどれか」とか、「両足とボールの距離」とか、「芝目の性質」とか、「ラフが深い場合」とか、「ぬれたグリーンは曲がらない」とか、いやらしさを感じさせる要素はまったくない。ただし、それぞれの文章に添えられている写真が、いちいち全裸なのだ。 カバーの見返しには、まえがきの抜粋として以下のようなことが書いてある。

 ゴルフのむずかしさは、自分の技術と判断だけが頼りである、という点から出発している。止まっているボールを打つのが、どうしてむずかしいのか、というかもしれないが、実際にやってみるとそれがよくわかるものだ。
 この本は、あくまでも初心者に焦点をあて、とくにヌードを使って形をわかりやすく表現してみた。画期的な試みであるが、ゴルフ入門の一助にしていただきたいと思う。

 

 なるほど、たしかにショットを打つときの筋肉の動きなんかは、裸の方がよりわかりやすい。編集する側にとっても、読者の側にとっても、十分に必然性のある理由だ。ゴルフのためならあたしがひと肌脱ぐわ、である。いやあ、久々にいい本が手に入った。

 

2013年5月ニ日

 竹熊健太郎さんご来店。彼と初めて会ったのは、いまから30年ほど前。ぼくがまだゲームフリークで出版部をやっていた頃のことだ。相原コージさん作のスーパーファミコン用ソフト『イデアの日』の攻略本を作ることになって、前半の攻略記事を我々出版部が、後半の読み物を竹熊さんが執筆することになった。それ以来のご縁である。

 竹熊さんからはちょっとした相談を受け、こちらも前向きに対応することに。その後、要件もそこそこに店内の本棚を興味深そうに眺めておられる。帰りしな、ご自身のデビュー作である『色単』をお買い上げいただいた。

▲いつもながらのいい笑顔。

2013年5月タ日

 乙武洋匡氏が銀座のレストランに「車椅子だから」という理由で入店拒否されたというニュースが流れ、ネットでは賛否が巻き起こっている。ハンディキャップのせいで人間の自由な行動が制限されるのはとても悲しいことだけれど、店が対応できることにも限界はあるわけで、なかなか難しい問題である。

 ぼくの友人や知人にも足腰が不自由な人がおり、マニタ書房に来たがってくれているのだけど、エレベーターのないビルの4階なので、ご来店いただくのが困難であることを心苦しく思っている。

 

2013年5月シ日

 最近、自分の古本打率が素晴らしい。出掛けるたびに“いい本”を掘り出している。これは別に運がいいというわけではなく、ただ単にすごい数の古本を見ているからだ。普通の人が月に1回か、多くても週に1回くらいしか古本屋に行かないところを、ぼくはほぼ毎日行って、しかも何軒もハシゴする。そんだけ打席に立ってればヒットもたくさん打てるわな。

 今日は、自分と相性のいい「新橋駅前古本まつり」に行ってきた。そう、古本市には相性の善し悪しがある。こうした古本市は複数の古本屋が共同で出店しているので、その中に自分の蒐集傾向に合う本を多く扱う店が入っているかどうかで相性が変わってくる。新橋駅前「古本まつり」は相性がいい。新宿サブナードの「古本浪漫洲」はどうも合わない。同じ新宿でも西口地下の「新宿古本まつり」はいい。高田馬場BIG BOXの「古書感謝市」も規模は小さいながら相性がいい。逆に池袋西武リブロの「古本まつり」は規模はデカいのにどうも相性が悪い。難しいものだ。

 というわけで、本日訪問の「新橋駅前古本まつり」は、さすがの相性のよさで今回も収穫はそれなりにあったが、とくに嬉しかったのがこれ。

ビッグダディが盛岡で開業した接骨院のチラシ!

 店を宣伝したくてバラ撒いているチラシの住所にモザイクかける必要があるのか疑問だが、地元で配るのと、インターネット上に公開するのとは意味が違うだろうから、いちおうモザイクかけておいた。

 しかし、古本屋というのは売れそうなものなら何でも売るねえ。ま、これにわざわざお金を払って買うぼくもどうかしてるんだけれど。

 画像だとわかりにくいかもしれないが、このチラシ、おそらくビッグダディが手描き&ワープロ打ちして切り貼りした版下を、白黒コピーで複製したものだ。ということは、これが本物かどうかを問うことには意味がない。そもそもがコピーなんだから。

 もっと言えば、ぼくがこれをさらにコピーして、大量の複製を作って無限に売り続けることもできるわけ。もちろん、そんなことはしないし、原本(といってもコピーだけど)をマニタ書房で売り物にすることもない。あくまでも自分のコレクションである。

 ところで、このチラシを見るとビッグダディがけっこう真面目に長時間働いていることに気づく。盛岡屋、マニタ書房よりよっぽど営業してるな!

 

2013年5月ヨ日

 本の価値をちゃんと勉強して、しっかり値付けをしてる店が、客にとっていい古本屋かというと、そういうわけでもないところが悩ましい。だって、客からすればレアな本が無造作に100円で売られていたりするのが最高の古本屋なわけで。

 いい本を仕入れることができたら、しっかり値付けして利益を出したいという気持ちと、いい本を安く発見して喜んで欲しいという気持ちのせめぎ合い。古本マニアから古本屋になったぼくは、日々そんなことを考えている。

14 アニマル洋子と店内撮影と宮尾登美子

2013年4月マ日

 売り物の本に掛けるビニールに悩んでいる。この件は以前も書いたが、グラシン紙で本を包むのが好きじゃないので、状態の確認がしやすい透明ビニールで本を包みたいのだ。

 店内にあるすべての本をビニール掛けするのは作業量的に現実的ではないから、一部の貴重な本と、少しダメージがある本はそれ以上の被害を食い止めるためにビニール掛けにしたい。

 高円寺にある「アニマル洋子」さん(※古書店の名前です)でビニール掛けしていたので、店の方にどういうビニールを使っているのかお尋ねしてみたら、大きめのPPクリアパックを切りひらいて使っている、とのことだった。

 なるほど~とは思うものの、コストがちょっとかかりそう。

 古書ビビビの馬場さんにも同じことを伺うと、「うちは結局1000円程度の薄いロールを使っています」とのこと。東急ハンズとかでロール状になったやつを買えればいいのか。でも、どういう厚さがちょうどいいのか。薄すぎては切り出したり包んだりの取り扱いに苦労しそうだし、厚すぎるものは包んでもしっかりテープ留めしないと勝手に解けてしまうだろう。

 厚みが違うのを何種か買ってみて、テストをしてみるか。

 

2013年4月ニ日

 世間の常識的には、業種を問わず商店の店内で店主の許可なしにお客さんが勝手に売り物などの写真を撮るのはいけないことだろう。

 だが、マニタ書房はそれを一切問わないことにしている。「こりゃおもしれぇ!」という本があったら、どんどん写真に撮ってSNSに上げてもらっていい。その本を買わなくたってかまわない。マニタ書房みたいな始まったばかり無名な店は、話題にしてもらってナンボだ。

 

2013年4月タ日

 姉から「宮尾登美子『一弦の琴』のハードカバーが欲しいから、次にセドリ旅に行ったら探しといてくんない?」と頼まれた。まあ姉がセドリなんて言葉を知ってるわけはないので、わかりやすくそう書いてみたわけだけど。

 で、仕入れ値より高く買ってくれるわけじゃないし、姉から金取るのも何なので見つけたらタダであげるつもりだけど、こういう頼まれごとっていうのは古本マニアとしては嬉しいもんだ。

 何しろ、ぼくは本を“探すこと”だけが好きなので、仕入れ旅行にミッションが加わるのは楽しみが倍増する。いっそのこと探書代行業でもやろうかなあ、とさえ思うときがある。

 営業を終了して看板を引っ込め、店のドアを閉めて少しだけ原稿を書いてたら、ノックがあってお客様がご来店。10分ほどならいいですよ、と招き入れたら、短時間でサササッと選んで5,000円分くらい買ってくださった。こういうのはありがたいね。

 

2013年4月シ日

 今日はお客様から店名の由来を聞かれた。開業時の日記にも書いたけど、改めて書き記しておくと、「人喰い映画祭」→「人喰い」→「マンイーター」→「マニタ」で「マニタ書房」。もしもぼくが無類のパイナップル好きだったら「パイナポー書房」になってるところだったわけだ。

13 飲尿療法とカンパの古本と謎の鉄パイプ

2013年3月マ日

 かつて「飲尿療法」という民間療法が流行ったことがある。1990年に『奇跡が起きる尿療法』(中尾良一/マキノ出版)という本が刊行されて、広く世間に知られることとなった。飲尿、ようするに自分の尿を飲むことで体内がデトックスされ健康に……とかなんとか。

 常識で考えて、自分の尿を自分で飲むだけで健康になれるなんて、そんなワケあるか、バーカバーカという案件なんだが、なぜか流行ってしまって、けっこうな著名人でも実践している人がいた。

 その昔「伊藤つかさの尿なら飲める!」と言った奴がいた。ぼくは誰の尿なら飲めるかな~? デビュー当時の山瀬まみだったら飲んだかもしれない。でも、せっかくプリン体を排出した自分の尿を、なんでまた自分で飲まなきゃならないのか。

 飲尿療法のような医学的根拠のないものには否定的なぼくではあるが、古書マニアの立場からすると、それらについて書かれた本には俄然興味が出てくる。以前から、古書市などで見かけるたびにコツコツ仕入れをしており、いまでは10冊近くの在庫がある。

 尿の本が日本一揃っていることでお馴染みのマニタ書房、本日もオープンしました。

▲『尿を訪ねて三千里』なんて最高のタイトルじゃないですか!

2013年3月ニ日

 デイリーポータルZの林雄司さんがご来店。「Webやぎの目」の頃から気になっていた書き手であり編集者でもある人物だが、じつはお会いするのは今日が初めて。マニタ書房という店をきっかけにして、会いたかった人に会えたりするのがとてもおもしろい。店を始めてよかった。

 

2013年3月タ日

 高校時代の後輩のムトーが、30数年ぶりに会いに来てくれた。いまはビニール加工をする町工場の社長である。懐かしい話をいろいろ。

 そして、今日は店を閉めたら下北沢へ遊びに行く予定。いよいよ駅前再開発が本格化するにあたって、小田急線の地下化が始まる。あの有名な「開かずの踏切」がなくなるというので、下北沢で出会った仲間たちと集まって踏切の最後の姿を見て、惜別の宴を開催するのだ。

 下北沢は亡き妻と出会った街でもある。今日はいろいろな時間が巻き戻される日だ。

 

2013年3月シ日

 自分のノルマとして予定していた原稿は、1本目を7割ほど書いたところでタイムアップ。でも難所は抜けたからいいのである。それに、今日はお客様も多く、本をたくさん買っていただいた。限りなく赤字に近い店だけど、古本屋とライターという二本立てで商売をしていると、精神的にラクなのだ。

 ツイッターを見ていたら、友人がマニタ書房で買った本の写真を上げている。そして、そのツイートを見た別の友人が「あ、それオレが開店のときにプレゼントした本では?」とコメント。わはは、友人の本が友人間でぐるぐる回ってる。

 マニタ書房は、開業パーティーのとき「お祝いはいらないけど、不要の本があったらカンパして」とお願いしておいたら、集まってくれた友人たちがたくさん本を置いていってくれた。で、当然それらには適当な値段を付けて店頭に出しているわけだが、その気になれば後日来店して、自分が置いていった本にとみさわがいくらの値段を付けたか見ることができてしまうのだ。「オレがただでやった本にそんな値段を付けやがって、あのボッタクリ野郎!」……っていう地獄絵図がぼくを待っている。

 

2013年3月ヨ日

 マニタ書房はとにかくよく揺れる。

 自宅では地震以外では家が揺れることはないので、地震があったときはすぐに「地震だ!」とわかる。ところが、神保町のマニタ書房は白山通りを大型トラックが通るだけでもすごく揺れるので、毎日のように「地震かしら?」となっている。細長いビルの4階だから余計に揺れを感じやすいのだろう。

 うちの物件は、白山通りに面した側の柱に謎の鉄パイプが突き出ている。なんのためにあるのかさっぱりわからない。他にも洗面所の窓にも鉄骨が斜交いで突き出ていたりして、一応の耐震設計はされているようだ。

▲謎の鉄パイプ

12 忍者と豆盆栽と沖縄ブックオフツアー

2013年2月マ日

 以前にも書いたが、つげ義春無能の人』の「石を売る」は自分の中にとても深く食い込んでいて、ゲームデザイナーとして時代の最先端にある仕事をしていたときから、将来、自分はあそこへ行ってしまうんだろうなあ、という怖れのような気持ちと、それに反する期待感とが半分ずつあった。

 結局、このように古本屋のおやじになっちゃったわけで、ぼくはつげ的世界に半身だけ入ってしまった感じがしている。だーれもこない店内で店番をしていると、助川の「ジュースとか甘酒とか並べてね、ついでに石も置いて多角経営してみようと思う」という才覚のかけらも感じさせないセリフが、頭ん中をグルグル回る。

 マニタ書房も、多角形とまでは言わないが古本の他に中古レコードを置いてみたり、変な雑貨を並べてみたりして、本人は楽しんでいるんだけど、なんだか店として経営方針がブレているような気も、少しだけしている。

 

2013年2月ニ日

 店内に「エマニエル椅子」を置いてみたい衝動に駆られる。しかし、冗談で買うにはあまりにも大きいし、たぶん高い。

 

2013年2月タ日

 仕入れのためにブックオフを回っていると、どこにでもありそうなのに意外とそうでもない本というのが見えてくる。そのひとつが忍者に関する本だ。「忍者」というコーナーを作りたくて、ブックオフ巡りの際にはわりと意識して見ているのだけど、なかなか見つからない。なので、現状ではマニタ書房の在庫には2冊しかなく、暫定的に未分類コーナーに置いている。これが5冊になったら仕切り板を作ろうと思っていたのだけど……、本日2冊とも売れてしまった! 残念だけど、経営者としては喜ぶべきなのかな。

 そうだ、先に仕切り板だけは作って棚に挿しておき、そこに「このジャンルの本を売ってください!」と書いたデコイを並べておくといいのかもしれない。

 

2013年2月シ日

 今日は娘と一緒に千葉県の未踏ブックオフを2軒回ってくる予定。大喜びで同行をせがむ娘に、とみさわ遺伝子が着実に伝承されているのを感じる。

 それにしても、古本屋っていうのはどこの誰とも知らない人の人生を追体験する商売だな、と思う。「どこの誰とも知らない人」というのは本の著者のことではなく、その古本の前の持ち主のことだ。日々、古本に触れていると、前オーナーの過ごしてきた人生に触れてしまう瞬間が多々ある。それをとてもわかりやすく教えてくれているのが、古沢和宏さんの『痕跡本のすすめ』だったりもするわけで、あの本が古本業界に刻んだ功績はとても大きい。

 

2013年2月ヨ日

 少し前にある人がツイッターリツイートしているのを見て、長いことカラーブックスの『豆盆栽』を探している人がいるのを知った。べつにその人から探書を依頼されたわけではないが、まあ古本屋の習性というか、心の隅に残っていた。

 その後、仕入れに行った先の古本屋であっさりと『豆盆栽』を見つけ、安かったのでセドリしておいた。だけど、その探している人は自分がフォローしているわけじゃないし、誰のいつ頃のリツイートだったかもわからず、セドった本を届ける方法がない。

 どうせ売るならやっぱり長いこと探している人に買ってほしいなあとは思うのだけど、相手がわからないんじゃどうしようもない。とりあえず値段を付け、心の中で(いつかその人がマニタ書房のことを知って、店で見つけて感激してくれるといいな……)と思いながら店頭に並べておいた。

 そして今日のことだ。

 フラリとやって来たお客様が、しばらく店内の棚を棚を物色している。カラーブックスが置いてあるコーナーもじっくり見ている。その後、あの『豆盆栽』をレジに差し出してきた。それ1冊だけを。もしや、と思って聞いてみた。

 

「以前、ツイッターで『豆盆栽』を探しているという方がいて……」

「それ、わたしです!」

 

 いやあ、願いというのは届くもんだなあとびっくり。もちろん、お客様はとても喜んで帰っていかれた。古本屋冥利に尽きるというのはこのことだ。

 ※この話には後日談もあるのですが、それはまた後日の日記に書きます。

 

2013年2月ボ日

 札幌ブックオフ巡りをした際に、LCCの航空チケットの安さに味を占めたぼくは、こんどは沖縄へ行くことを計画する。暇にあかせてAir Asiaのサイトを見ていたら、タイミングよくバーゲンで成田~那覇が3,900円というのを見つけた。往復しても7,800円だ。すげえな。

 というわけで2月の下旬に4日間、ぼくは古本の仕入れ旅行を敢行した。

 

 出発した日の東京の気温は、7℃くらい。でも、那覇に着いたら19℃。とても暖かくて過ごしやすい気温だ。着ていったダウンジャケットを脱ぎ、アロハに着替える。

 ホテルにチェックインしたときはすでに日が暮れていたけど、沖縄にいられる時間を無駄にしないよう、すぐにブックオフへ向かう。最初に訪ねたのは「ブックオフ沖縄ひめゆり通り店」で、そこでは7冊購入できた。まずまずの収穫。とはいえ、もうこの時点で夜9時を回っていたので、次の店へ向かう余裕はない。だから飲んじゃうよね。沖縄の夜を楽しんじゃうよね。

 国際通りで見つけた適当な居酒屋でほろ酔いになり、ホテルへの道をぶらぶらと歩いていたら、遅い時間なのにまだやっているレコード屋があった。沖縄音楽のレコードは集めているわけじゃないので、とくに期待もせずに見ていたら、『燃えろ! 闘牛!』という沖縄闘牛のCDを発見した。これはいいものだと即購入。

ここで買えます。

 翌日は、レンタカーを借りて本格的にブックオフ巡りを開始する。まあ本格的にと言っても沖縄には6軒しかブックオフがない(当時)のだけど。この日は一般の古本屋も回る予定なので、ブックオフに行けるのは3軒だけ。

 まずは「ブックオフ宜野湾市店」で8冊購入。次に「ブックオフ那覇小禄店」で6冊購入。じつは「那覇小禄店」は日本最南端のブックオフでもあり、仕入れ以上にここへ来ること自体がこの旅の重要な目的でもあった。

 その後、「ブックオフ那覇与儀店」で13冊購入し、ブックオフ巡りは終了。一旦ホテルへ帰ってクルマを置いて、シャワーを浴びたら再度外出。

 国際通りとその周辺をアッチデモナイ、コッチデモナイとうろつき回って「ゆいま~る」という古本屋さんに辿り着いた。ここではアフリカの獣医の本を1冊購入。他に、あと3軒の古本屋を訪ねてみたのだが、すべて閉業してしまっていた。沖縄でも古本ビジネスは風前の灯なのか。

 

 そして3日目。再びクルマを出して、北へ向かう。途中に未踏のブックオフが2軒残っている、帰りに寄ればいいので通り過ぎる。じゃあどこへ向かっているのかというと、「漢那ダム」だ。そう、ダムカードをもらいにきたのである。

▲以前は熱心に集めていたけど、カラーバリエーションや期間限定などの多さに熱意が冷めて集めるのをやめたダムカード。でも、せっかく沖縄まで来たのだから、1枚くらいは欲しかったのだ。

 さて、ダムを満喫したらトンボ返り。那覇方面へクルマを走らせて「ブックオフ具志川店」へ向かう。ここでは6冊購入したのだが、そのうち大物の収穫が1冊あった。『俺たちには土曜しかない』(1975年/二見書房)である。著者は瓜田吉寿。あの悪のカリスマ、瓜田純士のお父ちゃんである。

 以前も書いたが、こうした暴走族本はいま古本業界では非常に高騰している。そんな本が、ブックオフの105円コーナーで発掘できたんだからたまらない。もちろん、うちも商売だからこれを店頭に並べるときはそこそこの値付をすることにはなる。まあ、古本屋というのはそういうもんだからご理解いただきたい。

 その後、やっと最後の店「ブックオフ コザ店」を訪ねて、沖縄のすべてのブックオフを制覇した。ここでは8冊購入して、トータル49冊を仕入れたことになる。日程的にはあと1日残っているが、もう仕事は終えたので、あとは沖縄の酒場を満喫するだけだ。