メルマ旬報の終刊に寄せて

 既報の通り「水道橋博士のメルマ旬報」は、2022年9月末で終刊となります。それにともない、現在ぼくが連載中の「マニタ書房閉店日記」も、前号での更新(2012年8月 第6回「暴走族本とせんべろ古本トリオと委託販売」)をもって終了となります。今後は、とりあえずこのブログ「蒐集原人 Pithecanthropus Collectus」に掲載の場を移しつつ、あらためて連載を引き受けてくれる媒体を探そうかと思います。

 ぼくが「メルマ旬報」で連載を開始したのは、2018年8月20日(Vol.147)からでした。当時、構想していた「流行歌を通じて日本の戦後史を語る」という企画を、できれば単行本の書き下ろしではなく、どこかの媒体で連載したいと思っていたところ、縁あって「メルマ旬報」にその場を設けてもらうことができました。

 おかげさまで19回にわたる連載を経て、2019年に『レコード越しの戦後史』(P-VINE)として書籍化されました。その後も、自身のゲーム遍歴を綴った「1978~2008 ☆ ぼくのゲーム30年史」を連載し、これも2021年に『勇者と戦車とモンスター 1978~2018☆ぼくのゲーム40年史』(駒草出版)と改題のうえ、書籍化することができました。

 水道橋博士、そして「メルマ旬報」との出会いがなければ、これら2冊の本は世に出ていなかったかもしれません。あらためて博士とメルマ旬報関係者、そして読者の皆さんにお礼を申し上げます。応援ありがとうございました。

 3つ目の連載となった「マニタ書房閉店日記」は、2012年から2019年までの7年間、ぼくが神保町で経営していた「特殊古書店マニタ書房」の記録です。これまでの連載を見てもわかるように、ぼくは異常なほどの記録魔なので、古本屋として日々遭遇するおもしろい出来事は、すべてメモに残してあります。それをエッセイ仕立ての日記にしたものです。

土佐日記」や「蜻蛉日記」まで遡るまでもなく、日記文学というのは読み物の一形態として、様々な名作が残されてきました。古書店の日常を記録した日記本にもおもしろいものがたくさんあります。古本屋の主人というのは、ぼくみたいに記録魔が多いのでしょう。戸川昌士さんの『猟盤日記』シリーズ、北尾トロさんの『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』、須賀章雅さんの『貧乏暇あり 札幌古本屋日記』などなど、挙げていったらキリがないです。

「マニタ書房閉店日記」も、それらの諸作群に負けないものになるよう、奮闘しているつもりです。これから先、どこかの媒体で連載が再開できるのか、行くアテもなくブログで書き続けることになるのか、それはまだわかりませんが、どうぞこれからも応援していただければ幸いです。

 まずは明日から一週間ほどかけて、これまで「メルマ旬報」に掲載してきた分を順次こちらのブログでも読めるように転載していきます。どうぞ「無料」でお楽しみください。